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ボーイズラブ Archive

キャラクター・データブック

今でこそ冬水社のコミックがアマゾンで買えるようになりましたが、それまでは直売店でしか買えず、また古い作品は作家データもなくて入手が困難でした。私は、一般的に知名度の低い初期の作品を好む傾向にあるため、古書店で入手する方が多いのですが、その時参考にするのがこのデータブックです。現在の「いち・ラキ」の前身である「ラキッシュ」「いちばん好き」時代の作品がほぼ網羅されています。コミックは何を置いても絵とキャラの濃さが命!ですから、まず自分好みのキャラを捜し、キャラ年表から物語を推測して自分好みだなと思えば本を買います。ハズレもありますが、買うんじゃなかったというほどひどい作品には当たってません。

他に使い方としては、長編で人数が増えた作品などは登場人物の参考になります。作品によっては名前がややこしかったりするのでキャラクター関係を整理するのに重宝します。大手出版社の作品だとよほど人気が出てTV化されない限り、この手のファンブックなんて出ませんから、別の意味で便利ですね。

データブックキャラクターデータブック 全6巻
冬水社


壬生狼伝

思いっきりボーイズラブです。というか、著者名を見た時にそのくらい気付よ!っていうくらい、その筋では有名な方の作品です。でも、中身は真面目でちゃんと史実に沿って納得できる展開になっています。新選組ものは硬派な作品以外は認めないという人でなければ、エンターティメント作品として結構オススメです。

カップリングは、沖田総司と沖田付きの隊士見習い、帯刀朔次郎。その筋での有名人、武田観柳斎も無論出てきます。馬越に懸想するのは相変わらず。当時は衆道も武士道の内という考えがあったし、現代の感覚では理解不能なところがありますけど、無理強いが御法度なのはいうまでもありません。そういう意味では完全に逝っちゃった人ですね、武田は。

近藤と土方もそれなりに格好良く描かれています。あと重要な役どころをしているのが山南。帯刀視線では冷たい人のイメージが先行していますが、山南と関わったあとで事件がおこり、ひとまわり成長するきっかけをくれることになります。特にラスト近くで明里との関わりは、ビックリでした。当時ならありえるし、当たり前のことなんですが、純情派に刺激が強すぎるかも。

全体の流れとしては、壬生に屯所がある時から、池田屋事件、長州征伐、山南切腹と、いわゆる新選組が上り坂にある時を扱っています。西本願寺から鳥羽伏見までは数ページ、沖田の死に至っては、数行という短さです。沖田の一番輝いていた時期にスポットを当てた作品としてはよくできていると思いました。

壬生狼伝壬生狼伝 全3巻
秋月 こお
小学館 2001-03

by G-Tools

好きじゃないけど愛してる

朝っぱら場所もわきまえず教室でいちゃついている光基と朝陽だが、クラス公認のふたりを責める者はおらず、遠巻きに鑑賞している。そこへ現れるのが花基の甥・朝日。なんで赤ん坊まで教室にいるんだ~!?とかいろいろツッコミ度満載ですが、クラスのみんなはそれを平然と受け止めていて、その光景はやがて日常化されていく。なんともはやぶっ飛んだ、それでいてほのぼのとした風景が繰り広げられる。「好きじゃないけど愛してる」は全編とおして、三人が繰り広げるおもしろ学園ライフ。これでもか!というくらいに花基と朝陽はいちゃついているのだが、それがあまりにもオープンでさらりと描かれているのでエロスとはほぼ無縁。これ、華麗なキャラで描かれたら絶対引くわ。ましろさんのほのぼの絵だからこそほんわかとした物語に収まっているのだと思う。

4832280856好きじゃないけど愛してる 全4巻
南野 ましろ
芳文社 1999-04
花島光基と日高朝陽はクラス公認のらぶ・フィーバーカップル。そこへ花基の姉が幼子旭を押しつけて去ったからさあ大変!しかも旭は朝陽をライバル視している?

ゴージャスカラット

ジャンルとしてはボーイズものになるんでしょうかね。というのも、普通なら、怪盗のアールと美青年フロレアンのカップルであーだこーだと進むんでしょうけど、ふたりが意識するのはかなり後半。聖書にも関わるテンプル騎士団の秘宝と盗賊団のボス、アズラが絡んでのハードアクションを越えたあたりからです。ただ、あくまでノアールとフロレアンに限って見た場合、進度が遅いのであって、他の目線からみるとボーイズ色は濃い方だと思います。どちらへ転んでもフロレアンは…。

貴族のお坊ちゃまフロレアンはご多分にもれず何もできません、何も知りません。深窓の令嬢顔負けの清らかなお坊ちゃまです。ノアールは怪盗ですから、何でもできます。部下もそれなりにツワモノ揃い。それがあっさりモロッコで欺されちゃうんですね。やはりノアールは若いだけに甘かった。

後半のハード+痛い展開は好みが別れるところですが、物語はしっかりしています。謎と歴史とほどよくミックスされた感じでしょうか。ボーイズに抵抗がなくて歴史ミステリーが嫌いでなければOKなんじゃないかな。絵は氷栗さんですから嫌味のない華麗なタッチで楽しめます。綺麗な絵の好きなお嬢さん向け。

4834261220ゴージャスカラット暗闇の美徳全4巻+外伝
氷栗 優
集英社 1999-10
20世紀初頭、フランス、パリをにぎわす怪盗が現れた。その名はノアール。没落した貴族ロシフォール家のダイヤを巡って争いが始まった!闇に潜む怪盗ノアールとアメジストの瞳を持つ、美青年フロレアンのピカレスクロマン活劇。

毎日晴天!

大人が主人公でキス止まりのボーイズラブということで安心して読めたのが二宮悦巳さんの「毎日晴天!」です。原作は結構巻数があって後半行き着くとこまで行っちゃうらしいですが(まだ未読なもんで)。

SF 雑誌の編集者・帯刀大河(おびなたたいが)に、ある日突然 新しい家族ができちゃった!? 寝耳に水の姉の結婚で、義兄となった阿蘇芳秀(あすおうしゅう)は、 なんと担当作家で、高校時代のクラスメート。 でも大反対する大河をよそに、肝心の姉がいきなり失踪!! おかげで大河は弟達の面倒を 見つつ、なし崩しに秀と同居するハメに…!?

テーマは、家族の絆。戸籍という紙切れで繋がってるのではなく、情による絆で築かれているのが家族である、と。家族を知らない秀が大家族の帯刀家に憧れていて、そこに入っていきたいけど、どうしたらいいのかわからない。取りあえず、秀は受け入れてもらえるように努力します。一生懸命考えて、みんなの気持ちを察して動くけれど、決してみんなとぶつかりません。というか、感情をぶつけ合っていいのだということを知らず、またわからない。失いたくない思いが働きすぎて逆に地雷を踏んじゃった、かな。

前半は、押しかけてきた秀とその養子・勇太が居着くまでのドタバタと、姉・志麻の失踪、編集のお盆締め切りと続けざまに事件が重なって、登場人物のことなど考える間もなく展開していきます。怒濤の展開?というか、それが落ち着いた頃にようやく本筋の大河と秀の関係が明らかになりました。両思いのすれ違いから、流れに流されて来たって感じですね。告白しながら秀は、昔の事情を知っていた志麻が同居をお膳立てした可能性を確信してます。そこまで他人の考えは読めるのに、自分からは感情をぶつけられない秀は、かわいそうな人間です。勇太はそう感じてしまったので養子となった。けれど、大河は向き合ってぶつかったから恋人になった。読みながら久々に赤面してしまいました。

原作の小説は、勇太と真弓を主人公に更に広がってます。大河と秀のその後もすんなりとは進展せずいろいろあるらしく、ホームドラマ的展開らしいので続きを読んでみようかな…。

41996014144199601600毎日晴天! (全2巻)
(原作)菅野 彰
(作画) 二宮 悦巳
徳間書店 キャラコミックス

少女まんが的理想と現実

芳則は、恋に恋する乙女ならぬ恋に恋する純情少年です。世間的には雄介が一般男子だけど、実は彼には嫁に行った逆らえない姉がいて、彼女が猛烈に少女まんがのファンだったという裏があります。とあれ、芳則ははやいうちに、かわいこぶりっこのガールフレンドができました。しかし、楽しいはずのデートが疲れるだけでいっこうに面白くありません。そもそも恋に付きもののトキメキがないのです。芳則は彼女の上に理想を重ねていただけで、現実を見ていません。理想の恋も大切だけど、現実もみなきゃね。結局、二股掛けかけた彼女に芳則も目を覚まして、理想の彼女より、現実の友情を取りました。そこへタイミングよく雄介の姉が里帰りしてきて、ボーイズ雑誌を置いていきます。ふたりはその道まっしぐら…?という余韻を残すところがミソでしょうか。

同時収録の他の作品も、みんなかわいいお話です。
「スペシャル・ゲーム」は、女性のアイドル樋口から好きだと宣言された咲坂瀬の受難物語ですが、この作品のポイントキャラは咲坂の幼馴染み兼クラスメイトの彼女でしょう。残念ながら名前がないみたいなんですよね。この彼女が話を引き締めてくれるので、名前は付けて欲しかった。問題の人物樋口は「欠点は人間的魅力につながる」とのたまう究極のキザ野郎ですが、くどく手口も凝ってます。女性でも毎日意味のある花言葉に託した花を贈られたらクラっときますもんね。ただ、男性→男性だからウケるネタであって、普通は嬉しくてもネタに使えないというか、話しにしにくいんじゃないかな。

「それはある日突然やってきた」は男子寮のルームメイト加納と東条の無意識の意識の物語です。普通、モテる相方は東条タイプだと思うんですが、なぜか加納です。別にストーリーには関係ないんですが、ちょっと面白い描き方だと思って目に付きました。さて、先に意識したのは東条で、加納はあとから気が付きます。のほほんとしている東条に感情直結の加納。好きになった相手が、たまたま男だった。無難な結論でした。

描下しの「1回目のバレンタイン」は加納と東条のその後です。いろいろあってチョコは加納→東条へ。東条はホワイトデーを用意するということですが、そこまできて、加納は何かが納得できないようでした。


<作品データ>
【タイトル】少女まんが的理想と現実
【作者】川原未夜
【出版】冬水社 いちラキコミックス
【同時収録】スペシャル・ゲーム、それはある日突然やってきた、恋愛に関するそれぞれの意見、恋愛に関するよそ様の意見
【描下し】1回目のバレンタイン
【物語】ちょっぴり甘酸っぱい、少女まんがのような恋に憧れている日浦芳則クン。幼馴染みの藤枝雄介はいい加減現実を見ろというケド、やっぱり夢見る事はやめられない。そんな中、芳則クンに理想どおり(?)の彼女ができて…!?未夜ちゃんの初コミックス、元気いっぱいに登場!

恋は急げ!!

教師と生徒で年下攻めというやつです。ボーイズラブの基本的な萌え設定とでもいいましょうか。ノーマルカップルでは年の差が好きだけど、ボーイズになると年下攻めが好きらしいです。最近お気に入りの作品をチェックしていて気が付きました。

藤木と広瀬の関係は、藤木の一方的片思いから始まります。やりたい盛りのスキスキ攻撃は、若さ故の特権ですね。広瀬はそんな藤木を簡単に受け入れてくれます。淡泊とはいえ、全然抵抗がないのも珍しい。あっさりカップル成立ですが、繋がったのは身体だけで心までは付いてきていません。広瀬は3年前に「ずっといっしょにいよう」と言い合った親友を亡くしており、それがトラウマになっていました。しかし、藤木のまっすぐすぎる気持ちが徐々に広瀬の心を開いていきます。

途中に藤木の恋敵として物理の教師が登場しますが、あっけなく撃沈。広瀬がふらふらしてるからいけない。とはいえ、藤木以外ではダメだということに広瀬も気が付き始めました。ふたりには特段大きな障害もなく、もっぱら広瀬の要求に藤木が振り回されてる感じです。最終話「夢見る頃を遠く過ぎても」では、さすがにひと波ありましたが、結局は藤木の粘り勝ちかな。

遠い日の あの 気持ちが 今また よみがえる
以前より確かな質感でもって それはある
たぶんこれが 『愛』と呼ばれるものなのだろう

広瀬がたどり着いた答えは、彼の中で亡き親友が本当に思い出となり、藤木を受け入れたからだと思います。最後のオチは、ふたり一緒に数学教師。数学が赤点だった藤木が恋の一念で獲得した未来です。


短編の中では、両親の再婚による義兄弟もの「週末まで待てない」が好きです。あ、これも年下攻めだ。あと「WHITE MAGIC BLACK HEART」は、のちの「極東バジリスク」に繋がる作品だと思います。「恋は急げ!!」の頃の絵が一番好きなので、このラインで続くとうれしかったんですが、新しくなるほどざくっとした絵柄に変わっていくんですよね。「DingDong」の頃になると、完全に好みから外れてしまって、個人的には残念でした。


<作品データ>
【タイトル】恋は急げ!!-藤木&広瀬-
【作者】遠東顕
【出版】冬水社 リバイバルコミックス
【同時収録】Dear FUNKY ASIAN、彼の大切な友達、週末まで待てない、はるばると世界紀行、俺も無人島に連れていってくれ、WHITE MAGIC BLACK HEART、加賀原&名取シリーズ、井関&松浦シリーズ、Rabies、Cook Do!
【物語】あんたが欲しい!藤木功高2、数学教師広瀬融に念願の告白だけど愛するクールビューティは、身体は預けても心までは開かない。藤木のLOVEパワーは、過去の傷にしばられる広瀬を救う事ができるのか!?

走れ八木くん!

この本をどこに入れるか正直迷ったのですが、主人公キャラが「プラトニック」の八木と寺山だから、東宮作品に分類します。

舞台は、日比谷公園と吉祥寺の街で、愛しのラバー寺山さんとの楽しいデートを遂行させようと、八木が奮闘する物語です。ゲームブックとあるように、文中の選択肢を選んで展開が変わっていきます。8通りのENDがあって、うちLOVE・ENDはひとつ。八木の出会うティアンキャラは総勢26人です。協力してくれたり邪魔してくれたり、全員に出会って8つのENDを迎えるのは結構大変でした。


気になる26人の内訳ですが、

渡辺章彦&佐田秀一(永遠に恋しているみたいに)
クー&バーン
青山聖&萩窪(青山聖のトップブリーダー的日常)
岸祥史&藤倉瑞己(永田町一丁目七番地)
宇都宮和彰
木村興一
吉祥寺克也&薬師寺羚一
津嘉山和夫&梓光昭
フェリス
志筑左宗&舟師哲(ぼくたちの吉祥寺恋物語)
一ノ関義常&上村春樹(常春BOYS)
坂本政親
井関匠&松浦尋(井関&松浦シリーズ)
百目鬼太郎&西条道明
堤&本間(幸せはこんなカタチでやってくる)
『藤倉代議士と岸代議士を結ぶ会』(永田町一丁目七番地)

です。


残念ながら、私は登場人物全ての作品を読んでいないので、???なキャラがあります。読んでいても思い出せないキャラもいる可能性もあり。でも、それなりに楽しめました。取りあえず「プラトニック」が好きなら、なんとかついていけると思います。どちらにしても完全パラレルワールド。好きな人は好きでしょうが、嫌いな人は嫌いでしょう。そういうお遊びの世界です。


<作品データ>
【タイトル】走れ八木くん!Tiens Game Book
【文】横浜まゆみ
【挿絵】東宮千子、芳崎せいむ、戸川視友、松美原由子、遠東顕、葉芝真己
【出版】吉祥寺倶楽部
【内容】一人でも多くのティアンキャラに出会って、きみだけの八木と寺山の愛の物語を作ろう!

もっと!!G・DEFEND

キャラ相関図が知りたくて買いました。読み出したのが「光の標」からなので、登場人物が多くて整理できなかったのです。しかし、本書が出たのが2回目のコミュニケーションゲーム編あたり?まだ登場してないキャラもあるし、関係が進んでるキャラもあって、参考になったような、ならなかったような…。レギュラーキャラを理解するにはよかったですね。カラーイラストについては、ノーコメントということで。モノクロの線はすごく好きなんですけど。

夢のあのシーン、このシーンとして、「アレクとマーティのピアス交換」「中学生・西脇と小学生・本木」「池上と野田のケーキ作り」が描かれてます。このシーンとこのシーンの間の出来事ね、とひとり笑いするによろしいかと。

気になる描下し番外編は、「入隊動機」です。食堂で本木、池上、岸谷、ビリー、ドクターと続き、隊長・補佐官室で石川の話になります。オチは、翌朝の食堂で西脇。もちろん、西脇の答えはわかりません。ドクター曰く、「はぐらかされました」です。


<作品データ>
【タイトル】もっと!!G・DEFEND-イラスト&データ攻略ファイル-
【作者】森本秀
【出版】冬水社(2002)
【内容】
企画1 カラー総頁40P! 超ボリュームで未公開を含むイラスト大公開!
企画2 カットは全て描下し! 裏設定もわかる!? 気になるマル秘データ集
企画3 「G・D」キャラ達はここで生まれる! 森本先生・仕事場拝見
企画4 描下し修羅場コミック4Pも収録! G・Dのできるまで
企画5 ヒミツの裏設定が今、明かされる! 森本秀先生最新インタビュー
企画6 夢のあのシーン、このシーンが実現!? 読者リクエストイラスト発表!
企画7 キャラの意外な顔が覗けるカモ? 超秘蔵・未公開イラスト大発表!
企画8 超ゴーカ!! 描下し番外編8P収録!

もっと!!氷の魔物の物語

お目当ては、カラー作品とその解説なわけですが。

連載当時を知らないので、カラーを見ると「こんな雰囲気な絵もあるんだなあ」という感じ?雑誌の配色の関係もあるんでしょうが、ストーリーの割には淡い絵が多いと思います。イシュカの性格からして淡い方が似合うような気もしますが、もうちょっと濃い色遣いの絵も見てみたかったかも。この本が発行された当時は、まだ連載中で、最終章に突入したあたりとのコメントが残ってるので、もしも完結後だったら、もっとキツイ感じの絵が加わったかもしれませんね。綺麗でおどろおどろしい絵は嫌いではありません。

「シルバーダイヤモンド」の羅貫と比べるとイシュカの方がかなり色っぽいと思います。特に斜め向きの視線!「魔物」には花街も出てくるし、そもそも学園色がないから、イシュカに学生=子供であることを必要としないせいもあるんでしょうね。現実を感じさせないファンタジーとして好きです。

描下しコミックですが、イシュカがブラッドと村の家で過ごしていた時のひとこまです。イシュカに躾けられていくブラッドだけど、どこかずれてる様子とか、お風呂上がりに髪を拭いてもらっているブラッドのほっこりした様子とか。これといったストーリーはないけど、幸せな日常です。

余談ながら、たまたま「FRESH&BLOOD」を読んでいて、ジェフリーとカイトがブラッドとイシュカにダブりました。あくまでビジュアルが、ですよ(苦笑)。どっちも髪の色が金髪と赤毛なんだもん。

<作品データ>
【タイトル】もっと!!氷の魔物の物語-イラスト&攻略ファイル-
【作者】杉浦志保
【出版】冬水社(2001年3月)
【帯封】魔物ファン必見!!杉浦志保秘蔵のお宝データ満載で贈る究極の一冊
企画1 カラー総頁40P!超ボリュームでイラスト一挙公開!!
企画2 キャラの裏設定までバクロ!?気になる(秘)データ集
企画3 魔物キャラを始め、未公開キャラなどの秘密のイラスト大公開!!
企画4 杉浦先生・仕事場拝見!「魔物」世界はここから生まれる!!
企画5 描き下し修羅場コミック4pも収録!氷の魔物のできるまで
企画6 あんなコトやそんなコトを直撃!?杉浦志保先生最新インタビュー
企画7 『魔物』のルーツ!?衝撃の問題作「青ずきん」。小5にしてこの作風...!
企画8 超ゴーカ!!描下し番外編8p収録!

極東バシリスク

超能力を消滅させるために力を使い切るのに、なぜ悪霊退治なのか?なーんて突っ込んではいけません。研究所にやってくる依頼人のほとんどは、悪霊に憑かれているわけではなく、自分がそう思いこんでいるから!十景は依頼人を納得させるための演出に武巳の超能力を活用しているのです。あくどいと言えばあくどいですが、中には本物の悪霊もいるので、能力ゼロでは務まらない、命がけのお仕事です。

悪霊といってもさまざまで、式神で呪殺されかけた事件もあります。陰陽師ものだと、呪術合戦になるところですが、なにせ主人公はそっちの能力ゼロ。いいところは十景がさらっていきます。しかし、ヘビにマングースの式神で対抗するオチには笑ったね。ばかばかしすぎて面白いというか。こういうサラリとした終わり方は嫌いじゃないです。

後半は式神も大活躍。もとは武巳の切った紙ですが、それにエンマが「急々如律令」と唱えることで、立派な式神・雷太になりました。見かけは朱雀かな?エンマと大の仲良しです。雷太は能力がコントロールできない武巳が巻き込まれたトラブルで一度姿を失いますが、ちぎれた紙をバンドエイドでくっつけてエンマが呪を唱えると復活もできるというお手軽な式神。シリアスのあとをおちゃらけたオチで締めるのがいいか悪いかは、もはや好みの問題です。面白いと見るか、馬鹿馬鹿しいと呆れるか。陰陽師一本道より個性的な作品であることは確かです。読み切り作品集だから、ここまでが限界だと思いますが、メインストーリーがあれば、長期連載して欲しかったように思います。


<作品データ>
【タイトル】極東バシリスク
【作者】遠東顕
【出版】冬水社 いち好きコミックス 全2巻
【物語】谷守武巳はP・K(念動力)者。自分の能力が疎ましい谷守は、ある日張り紙に目を留め、「十景心霊研究所」へ向かう。そこでP・Kは使い切ると消滅すると聞かされ、勧められるまま、研究所長・十景の詐欺まがいの仕事を手伝うハメに。しかし、なかには「本物」の悪霊退治も混じっていて、実はそれなりの能力を持っている者達が研究所に集まっていた。最年少は、十景の甘味仲間の奥槻エンマちゃん(中学生)。武巳の切った紙に呪文を唱えることで生まれた式神・雷太も加わって研究所はますます賑やかに…?

たとえばきみが

切ない話は苦手です。感動するのは嫌いではありませんが、悲しい最期は嫌いなんです。だから「たとえばきみは」は、いい話だけど嫌いです。

F氏病。
近頃マスコミをにぎわせていたエイズにつぐ現代の奇病。
記憶が少しずつ、だが確実に破壊され
やがて手足は萎え、目は見えなくなり、
耳が聞こえなくなり、言葉を失い、
発病一年後の生存率1%

自分にとって重要でないものから忘れていき、死の直前に、その人の本質とも言える感情がたったひとつだけ甦るという残酷な未来しかない病気です。克己は、発病を知ると自分に正直になり、滝本もそれに真剣に応えました。何年にも及ぶ先の見えない介護が社会問題になりつつある現代からみれば、1年という非常に短い時間だったから成し得たきれいごと、という考え方もあります。でも、これは漫画だから、きれいなメルヘンでいいんです。全てを失ったあとに残る天使の微笑み。その人の価値は、死んだときでないとわからない。春の海辺で最期を迎えた克己は、滝本の心に永遠に刻み込まれました。番外編「きみさりてのち」は、幸せな家庭を築いた滝本が海辺で克己を想うモノローグです。愛する人は得たけれど、愛し方はそれぞれちがうのだと静に語ってます。

「電車で行こう」も切ない系のお話です。転校して数年後に友人から届いた葉書をもとに家を訪ねたら、その友人は葉書を投函した日に亡くなっていた。そんなたわいのない話なんですが、すんなり読ませられました。初期作品集というだけあって、じっくり練り込まれた作品はありませんが、時々、ここの表現いいなあと思えるフレーズがあって、今後の作品も追っていきたいと思いました。


<作品データ>
【タイトル】たとえばきみが
【作者】島津和樹
【出版】冬水社 いち好きコミックス(1996)
【同時収録】日曜日の卵、電車で行こう、しっぽのきもち、泣かせるぜッ!
【描下し】たとえばきみが番外編「きみさりてのち」
【物語】現代の奇病「F氏病」。次第に記憶が失われるこの病にかかった克己は、学生時代の友人・滝本のもとを訪れる。仕事を忘れ、家族を忘れていった克己が、最後に得たものそれは…?人間の真の繋がりを描く、感動の表題作他6編を収録した、新鋭・島津和樹の初作品集。

長距離恋愛の孤独

目次をめくって、まずびっくり。番外編が先にあって、そのあと本編があるんです。リバイバルコミックスだからかと思ったら、どうやら最初からそういう順番に描かれていました。短編で描いてたのがキャラ立ちして長編が生まれたみたいですね。なので、まず、ラブラブな二人があって、出会いを知っていくという流れになっています。

アーサーが歯科医なので、そのあたりから出てくるツッコミがなかなか面白い。確かに口の中を見れば、その人の健康状がわかります。それでそのまま「夜はナシ!」になってしまったショーンってかわいそうかも。せっかく遠いところから一生懸命帰ってきたのにねえ。こういうクスリとした笑いがいい味を出してます。

本編ともいえる長編は、ふたりの出会いから恋人になるまでの恋物語です。出会いはボストンですが、ショーンがニューヨークのチームへトレードされたため、ボストン・ニューヨークの長距離恋愛になりました。現実は更に厳しく、ショーンはシーズン中全米各地でプレイするため、ボストンはますます遠くなります。そのあたりの苦労も含めてショーンは悩みながらアーサーにアタック。それまでは恋愛など難しく考えたことがなかったのに、アーサーが相手だとなかなか「愛してる」のひとことが言えません。本気の恋だから失うのが怖い。告白からOKまでのドキドキ感がステキなのです。最近の少女漫画に足りない告白までのときめきをじっくり楽しめました。

両思いになってから、アーサーがスタープレイヤーであるショーンとの距離を感じて悩む展開は、芸能ものなどにもよくある話なので、あっと驚くようなものはありません。スキャンダルネタやアーサーがショーンに距離を感じるシーン、そしてそこから脱却するまでがキャラにしっくりくるように描かれてます。お馴染みのパターンをいかに退屈させずに読ませるかというのも作者の力量だと思いました。でも、ツボだったのは、「長期休暇編」でアーサーが見せてくれたサド歯科医っぷりです。歯医者への恐怖って全世界共通なんですよね。


<作品データ>
【タイトル】長距離恋愛の孤独
【作者】葉芝真己
【出版】冬水社 リバイバルコミックス
【物語】アイスホッケー界のスター選手のショーンと歯科医のアーサーは恋人同士。ショーンが試合中に歯を折ったのをきっかけに二人は出会った。マイペースなアーサーに振り回されつつも、恋に不器用な彼を愛しいと思うショーン。二人の恋の行方は…?アメリカを舞台に贈る、大人の恋物語。

ハレルヤ・コール

卒業試験の禊ぎをラエルに見られたため正神官失格になったキーヤは、責任を感じたラエルの申し出を受けてラエルの元へやってきました。しかし、神官失格を望んでいたキーヤにとっては、ラエルに感謝こそすれ、恨みなどありません。キーヤが神官になることを拒否したのは、自分が絶滅したはずの翅有族であることを知り、その力を恐れたからです。キーヤに一目惚れしたらしいラエルにとっては、キーヤが何者であろうとも問題なし。愛が全てを解決するというお約束のハッピーエンドです。絵がすごく綺麗でファンタジーものにはピッタリですが、ストーリーの主張が弱すぎます。自分の力を恐れて逃げ出したい心理をもう少し掘り下げて欲しかった。だって、崖から落ちそうになって正体を表わした、で片付けるなんて、あんまりだ!雰囲気は好きなんだけど、物足りなさの方が大きすぎます。

「CAT CAT CAT」は、猫が苦手の委員長・利渉隆生は、倉持靫が密かに飼っていた猫をみつけたことから彼と名前を呼び合う友人関係を築きます。利渉の猫嫌いは、小学生の時、やはり学校で内緒で飼っていた子猫が結果的に事故死したことを知ってしまったからでした。猫を間に挟んで惹かれていくボーイズラブ。どっちが落ちたかというと、委員長になるのかしら?意識してるのは委員長の方なんですけどね。うまくまとめられた短編だと思います。


<作品データ>
【タイトル】ハレルヤ・コール
【作者】福士春美
【出版】冬水社 ラキシュコミックス
【同時収録】CAT CAT CAT、TODAY FOREVER
【物語】ルシサナス王国の軍人・ラエルは森の中で、伝説の翅有族(エーリファ)のような美しい青年・キーヤに出会う。だが、キーヤには、誰にも話すことのできない禁忌な秘密があった。神々と魔法の去った新世界の王国を舞台に福士春美が描く、珠玉のファンタジー。

Sweet vs Home

できすぎる弟を持った不肖の兄、それが高岡先生の評価。あんまりといえばあんまりですが、それに反論できる要素がまるでないんです。真面目でかわいいだけの、でも、愛されて育ったんだなあとわかるお坊ちゃま。そんなお坊ちゃま先生が恋した相手は、自立しすぎている生徒の達也。結婚1週間で妻に蒸発されたというのは最初から狂言だった。ボーイズラブ的にはよくあるパターンのひとつですね。この前読んだ「毎日晴天」もこのパターンのアレンジだったし。私はパターン化された話は嫌いではありません。それをいかに読ませるかが作者の腕だと思ってます。

出来としては、微妙です。絵はすごくうまいと思います。今でもそうですが、動的で華のある絵はピカイチでしょう。先生が生徒に惹かれてるという前振りは悪くない。弟の出方も好きだし。いただけないのは、雷のシーンかな。いい大人が雷を怖がるかというツッコミではなくて、先生のキャラならありえることだけど、あり得ると思えるからこそ使わない方がよかったんじゃない?これで達也が心を動かしていくのは嘘くさい。弟の登場以降が面白かったので、そこが非常に残念でした。

達也が成人するまでは保護者でいたい先生の気持ちと、さっさと恋人になって構ってやりたい達也がこれからの勝負。先に惚れたのが先生だから逆転のチャンスはなさそうですけどね。

「初恋」は、好きなコをいじめたい心境の男の子の気持ち。転校前に告白して笑われて、再会したときは何とか繕えたけど、いつも心は苦しくて。しかし、ホント、恭一ってひねくれてるよなあ。感情をぶつけて欲しいからいじめるというのは、タチ悪すぎ!尚人がよくついていったと思います。いくら好きでもなかなかできないことですよ。ひねくれ系の話はどうも苦手です。やっぱり私は素直なキャラが好き。

4887410700Sweet vs Home
あべ 美幸
冬水社 2000-08-30
【物語】母親が突然蒸発し、義理の父親で自分の学校の教諭でもある高岡俊一と二人取り残されてしまった結城達也。7歳違いの、世間知らずでかわいい(!)『父親』にイラ立ちつつも惹かれていく達也だけど…?ピュアな青春を鮮やかに描いた「初恋」も収録。
【同時収録】初恋

しっぽのきもち

猫が中心のほのぼのコミックなのですが、カテゴリーがボーイズラブなため見逃していたのが、南野ましろさんの「しっぽのきもち」です。

book051114.jpgしっぽのきもち
南野 ましろ
桜桃書房

ラブラブ同棲カップル・新太と由惟の家には、小さな幸せを運んでくる子猫がいます。そのヤタカがある日、友達のクロとみつけてきたのは、怪我をした猫でした。ヤタカとゴロ(通称おっさん)とクロの織りなすほのぼのコメディ。

ボーイズラブなのは、飼い主がそうだからです。ちなみにふたりが同居するきっかけは、由惟が動物の飼えない下宿に住んでいながら子猫のヤタカを拾ったため、新太の家へ転がり込んできました。引っ越しのゴタゴタの間に両思いが発覚して、ハッピーエンド。最終話にこのエピソードが入っているのですが、他のエピソードの主人公は子猫のヤタカであり、ボーイズ色はほとんど気になりませんでした。

ゴロは成猫で、長らく野良だったらしく最初は人間嫌いの傾向にありましたが、新太と由惟の関係が自分とヤタカの関係とよく似ていることに気が付いてから、飼い主に対しては寛容になりつつあります。例えば、雪の日にヤタカが外に飛び出して雪の中に埋もれて抜け出せなくなったのをゴロが引っ張り上げているとき、池に張った氷に足を踏み入れてはやり身動きの取れなくなった由惟を新太が引っ張り上げているのを見てしまいました。ヤタカがゴロにうるさいくらいにまとわりついていると、由惟も新太に何かをねだっていたり。

由惟はヤタカ達にすごく寛容です。そもそもゴロを助けたのも、ヤタカに連れられてみつけたからで、ヤタカが懐いてるからそのまま飼ってしまいました。また、ヤタカが落ち葉を拾ってきて部屋に散らかしていても一緒に遊んでしまうくらい子供っぽいところがあります。でも、その後始末をしているのは新太。ゴロは新太に同情しながら同居生活に馴染んでいくのです。

絵は自然体なコミック調。猫たちも無理なデフォルメはされていません。南野さんのタッチの特徴だと思いますが、ほわほわというのがピッタリの表現です。ボーイズラブ・アレルギーの方にはちょっと無理かもしれませんが、好奇心旺盛な子猫の特徴がよく捉えられている優しい物語です。

ぼくたちの吉祥寺恋物語

戸川さんの作品でオススメのボーイズラブは?と聞いたところ、真っ先に進められたのがコレでした。純情な者同士の始末に負えないカップルの物語だそうで。いや、実際、そのとおりでした。相手を思いやることは必要だけど、必要以上に気を遣いすぎてもダメ。恋愛って難しいを地でいったような作品です。

自分の性格はおいといて、うじうじしたキャラが嫌いな私は、哲が苦手。心に傷を持つゆえの臆病さは、同情を感じれども共鳴できないんですよ。一歩踏み出せる勇気があれば、誰も悩まないわけですが。だから私は自分に正直な和己が好きです。虚弱なため常に覚めた目で人生をみてますが、それだけに行動がストレートで前向きに生きてると思います。太く短く?みたいな悟った人生観が好き。木崎先生によって困難な手術が成功し、人並みな人生が開けたのを単純に喜んでないひねくれた性格とか、実に面白いです。主人公カップルより、和己と木崎先生のエピソードの方が明るくて好きです。もしかしたら、わざと対照的な組み合わせとして登場させたのかもしれませんが、脇キャラエピソードの充実してることが本編を面白くさせているともいえます。多少いきちがいはありますが、純愛にはちがいなくて。最後はやっぱり先生が大人だなあと納得したカップルです。


<作品データ>
【タイトル】ぼくたちの吉祥寺恋物語
【作者】戸川視友
【出版】冬水社リバイバルコミックス全3巻
【物語】大阪から吉祥寺に引っ越してきた舟師哲は、とぼきり綺麗で気の強い高校一年生。彼が引っ越してきたマンションの大家・志筑左宗は、転校先の高校の同級生だった。以前大阪で同級生とその仲間に無理矢理襲われ、奪われるという痛ましい過去を持った哲。彼に一目惚れした左宗は、哲を優しく愛し、哲も次第に左宗に惹かれ始める。一時は左宗を巡るライバルであった、左宗の従兄弟・和己や、その和己を愛する木崎医師の暖かい応援もあって、やがてふたりは恋人同士に。2年に進級し、哲と左宗は別々のクラスになった。過去の傷が癒えず左宗の全てを受け入れることのできない哲は離れてしまったことに不安を感じる。そんな二人の間に割り込んできた、左宗のクラスメイト・杉原。幼馴染みの克彦から哲の過去を聞き出した彼は、哲に左宗から身を引けと迫る。左宗の本気に杉原は諦めるが、収まらない克彦が哲を呼び出したためにいらぬ混乱が巻き起こる。

シンデレラ(BOY)確率論

23歳大卒だけど童顔で小柄な永森香純は、18歳のスーパーモデル西室紫貴の付き人に抜擢されたものの、迎えにいったその日から「香純ちゃん」と呼ばれてしまいます。紫貴としては、香純は容姿も性格もかわいくて一目惚れなのだが、当人からしてみれば5つ年下の子からからかわれているとしか思えなかったのが運の尽き。紫貴が積極的に行動すればするほど本気を疑われて形無しです。平凡な人生を歩んできた香純には、スーパーモデルとして華やかな世界にいる紫貴を、オーディションで選ばれたシンデレラ・ボーイと見ており、自分とは別世界の住人だと思っているわけです。けれども、特別扱いはしていません。卑屈にならず接していたから逆に素が見えたという感じです。恋に落ちる瞬間って、その人の素が出たとき、惹かれるかどうかにかかっていると思います。香純をかわいいと思った時、紫貴は恋に落ちていき、子ども扱いされないために真面目に仕事をこなしはじめます。大人への第一歩というより、一途さを行動で示すあたり、まだ子どもの部分が抜け切れていないなあと微笑ましいです。ともあれ、シンデレラボーイから選ばれた香純こそが幸運な人なのかも知れません。


「雨のち晴れ」で何に驚いたかというと、絵です。全然違う!杉浦さんの絵は線が細くて華麗なイメージが強いのですが、この絵はあっさりしたキャラで、良くも悪くも白泉社系のラフなキャラと似た感じ?それが短期間でガラリと雰囲気が変わってました。多くの漫画家は数年くらいかけて自分の絵が固定すると感じていましたが、ここまで早変わりした絵を見たのは杉浦さんが初めてでした。ホント、びっくり。目から鱗です。

4887410417シンデレラ(BOY)確率論
杉浦 志保
冬水社 1994-04-24
【物語】スーパーモデル・紫貴の付き人に大抜擢された香純。とびきり綺麗で生意気な紫貴は、年上の香純に何かとちょっかいをかける。そんな紫貴の態度に、からかわれていると信じ込んでいた香純だが…!?現代を生きるみんなに贈る、究極のシンデレラ・ストーリーBOYS版
【同時収録】雨のち晴れ(デビュー作)、雨のち晴れ番外編ヴァンパイア、雨のち晴れ番外編The early bird catches
【描下し】そしてラブ・シーンは続く

永遠に恋しているみたいに

株に有り金15万円全部を注ぎ込んで食うにも困っていた渡辺章彦に学食をおごったのが縁で佐田秀一は章彦のオーナーとして彼に投資するようになりました。秀一の職業はジゴロ。15歳の時から自分自身を商品として生きてきた男だったのです。

ぼくは商品です。
誰の前でもお金を積んでくださる方の前では、
平等に自分を売れる商品です。
この心でさえも…。

読んでゾクリとした台詞は久しぶりです。どんな手段で得ようとも100万円は1万円札の紙切れ100枚分の価値として認識するという感覚も理解の域を超えてました。スイス銀行がそういう感覚だというのは聞いたことがありましたけど、自分には絶対持ちたくない感覚だと思いましたから。だからこそ、章彦と秀一のドライな関係に相応しいとも思いました。

それが一転、純愛です。8年間、ほれてくれるまで待ち続けた章彦は、文字どおりしぶとい男ですが、初恋を楽しめるロマンチックな面を併せ持っています。

愛してやる
もう商品だなんていわせない
生涯おれのものにしてやる

読んでる方が恥ずかしくなっちゃいましたよ。これ、高級娼婦の口説き文句にも使えそう…。個人的に東宮作品の中で、一番JUNE的要素の高い作品だと思っています。

出会いが食事だからか、秀一は章彦と同居してからも食事を作り続けています。東宮さんの男キャラは、なぜか料理のうまい人が多いです。生きる上で食事は必要不可欠なものだから、料理がうまいに越したことはないけれど、外食という選択肢をみたことがないような気もします。クールだけど家庭的な匂いが残る暖かさがいいのかもしれません。

章彦と秀一は主役でないまでも、他の東宮作品に登場しています。秀一の初出は、「明るい青少年のための恋愛」で、ジゴロ真っ盛りの頃。「プラトニック」では、章彦と一緒に暮らしているあたりです。作品は短くても息の長いキャラのようです。

「涙がこぼれないように」は、教師と生徒の禁断の恋という形を借りての純愛もの。タイトルは坂本九の名曲「上を向いて歩こう」の歌詞からです。余命がわずかと知った時、一番望んだことは何なのかを淡々とした時間軸の中でドラマティックに描いてます。ラストは、母校の校庭から、先生がいつも自分をみていた数学教室を仰ぎ見るシーンです。淋しいけれど余韻の残るエンディングでした。

「最後のグレース」は別の商業誌に掲載された短編。モデルと社長を描いた作品のひとつです。恋愛感情抜きの家族の情。しかし、3千万を薔薇購入に充てるとは、ホント、いい覚悟ですよ。


<作品データ>
【タイトル】永遠に恋しているみたいに-章彦&秀一-
【作者】東宮千子
【出版】冬水社 リバイバルコミックス
【物語】恋愛を武器に生きるジゴロの秀一は、大学の学友・章彦に投資することに。時は経ち、事業家として成功を収めた章彦は、かつてオーナーだった秀一を手に入れようとする。ビジネスとしての恋しか知らない秀一は、プライドと純愛の狭間で、思い、悩むが…。
【同時収録】涙がこぼれないように、最後のグレース

就職活動ノススメ

10年前に引っ越していった幼馴染みが就職試験先の会社の息子だったのがよかったのか、悪かったのか。強気でいるときと弱気になった時の有純のあり方は、誰しもが持つ感情の揺れだと思います。そこで逃げるか向かっていくかで、人間の本質が変わってくるのでしょう。最終面接で、「自分自身を高めるために会社で自分を鍛えるのが自分にとって一番の近道である」と真摯に答えられた有純は、夢の中で克也からもらったからっぽの財布をいつかいっぱいにできると思います。もっとも、番外編で、自己に目覚めた有純を克也が絡め取ってしまいそうな雰囲気になってますが。入社前から次期社長に恋人宣言された新入社員、お気の毒さまです。

「ビリーヴ・アゲイン」は他人が信じられなくなって人間不信になっていた医者の話。教授による論文搾取は、ネタとして有り体、それだけが不信の理由はちょっと弱い気もしますが、そこそこ無難にまとまってます。最後にちょこっとボーイズ要素入れてるので、オチが軽い。「Spring has come」は、しっかり者の弟を持ったトロい兄さんに人目惚れしたお元気少年の話。何かして欲しいから好きになったのではなく、好きという気持ちが先にあった…。初々しい初恋を思わせる照れくさい短編です。


<作品データ>
【タイトル】就職活動ノススメ
【作者】井崎安香
【出版】冬水社 いちすきコミックス
【物語】氷河期とも言われる就職戦線。有純も、そんな戦う学生の一人。ある時有純は、試験を受けに行った会社で偶然小学校時代の友人・克也と再会する。何とその会社とは、克也の父親の会社だった!?読めば絶対元気になれる、井崎安香の作品集!
【同時収録】ビリーヴ・アゲイン、Spring has come、僕らの聖夜
【描下ろし】続・就職活動ノススメ

教習所へ行こう!

年上の小柄な教官と年下の大柄な生徒。見た目そのままな関係のかわいいお話です。生意気な生徒は超優秀で小憎らしいところまでお約束通り。仮免一発合格、卒検一回失敗、その間ずっと藤井が担当していたので、二回目の卒検前には「女神のキス」。免許を手にした時、ふたりは対等な関係に…なったのかな。生意気な生徒でしかなかった九堂を藤井が見直したのは、教習中にみつけた猫の死骸を土に埋めたのを知ってからです。生意気でも根は優しい子を印象付けるエピソードですね。

番外編は、初ドライブで九堂が藤井に迫ろうとしたら車がパンクしたとか、九堂の運転が荒くなって藤井があきれたりとか、藤井の同僚に牽制すべく九堂が職場にお迎えにくるようになったとか、それぞれ2ページくらいの短編です。後日談として、それなりにまとまってます。

その他の短編も特に目新しい話はありません。好きなのは「100分の1のあなた」かな。仏頂面な神崎が笑ったら凶悪にかわいくて、やっぱり笑って欲しくないと後悔する和也君。ホント、これだけのたわいのない話ですが、絵柄と合っていてよかった。「GET IT!」も悪くはないけど、日下部さんと望月君の接点が弱すぎ。CD万引き濡れ衣→押しかけゲーム競争→代議士汚職の証拠発見→火事で入院→一方的に日下部さんが望月君を気に入ってキスひとつ。流れは悪くないけど、望月君が日下部さんに好意を持つニュアンスが欲しかった。良くも悪くもあっさりしているお話でした。


<作品データ>
【タイトル】教習所へ行こう!井崎安香短編集
【作者】井崎安香
【出版】冬水社 いちすきコミックス
【物語】自動車教習所教官の藤井の前に現れた九堂は、超生意気な教習生。何かと藤井を馬鹿にしたような態度を取るクセに、必ず自分の演習を予約してくるが…。教習所を舞台に繰り広げられる表題作他、元気でかわいい短編をぎゅっと集めた、井崎安香の初作品集!
【同時収録】GET IT!、ダンディsuccession、100分の1のあなた、「≠」な僕ら、僕らの関係
【描下ろし】教習所へ行こう!番外編2お迎えへ行こう!

化学室へおいで

ボーイズラブだけど、どちらかというと友情色の濃い作品です。主人公達の職業は教師ですが、動きのある物語になってます。まず、いきなりコンビニ強盗事件に遭遇。で、とろい椿が怪我をさせられたのにキレて大槻、強盗を成敗。大槻はなんでもできる天才タイプに描かれてます。「もっと!!G・DEFEND」によると、大槻はアレクと元を同じくするそうで、ナルホドと納得。バイクに颯爽と乗り、テニスをはじめスポーツ万能、先手必勝のイイオトコです。椿は、かわいいの一言。ついで、使える物は最後まできちんと使ってやる真面目な青年です。このふたりが、仲のよい友達から意識しあう恋人未満の間柄になるまでが第一話。

大槻から「友達でいるのを止めたい」と言われて落ち込む椿ですが、実はそれが、大槻のアタック宣言でした。友人を止めて恋人へ立候補というのは、簡単なようで結構難しい。相手に対して絶対の自信がないとできないことです。自信家だけど、椿の気持ちを大切に考えている大槻は、やっぱりイイオトコです。

第二話で登場する音楽担当の泉谷先生、外見は初期の西脇に似てます。キャラ的には彼が西脇の元かなと思ったり。椿が本当に大槻を好きなのか本気で心配してくれるいい友人です。雨の中、椿の時計を拾いに川へ飛び込んだ大槻を見て、大槻の本気を納得してくれました。この場所、たぶん眼鏡橋ですよね。今は工事後で原型を留めているかわかりませんが、昔見た時そのままが背景になってます。

タイトルの「化学室」は、大槻が化学の先生で化学室の主だから。タイトルはそのまま椿への呼びかけでしょう。もっとも仲直りした泉谷もマイカップを持って来ましたので、ふたりだけの化学室にはならないようですが。泉谷の監視のもと、大槻が苦労するかどうかは謎のままです。

4887410263化学室へおいで
森本 秀
冬水社 1997-05-10
【物語】大槻先生と椿先生は、同じ学校に勤めている大学時代からの友達同士。何でも話し合える親友だと思っていたのに、大槻先生には恋人がいた!?何も知らなかった椿先生はショックを受けるけど、その恋人とは実は…。
【同時収録】キスしよう!(デビュー作)
【描下ろし】化学室へおいで・番外編:新作コロンを椿に付けて香りを嗅ぐ大槻。店員の眼差しが…。

カラフルお元気BOY

弱小新聞部長の藤井彩人は病欠した日に部費をカットされたり部室を取り上げられたことから、生徒会長上折栄の弱点をみつけて脅迫しようと反撃に出たが、ことごとく裏目に出てしまう。要するに、上折が一枚上手なわけだ。例えば、オカマバーで「祥子」として店に出ている上折を発見しても、逆に酒を飲まされて弱みを握られてしまうていたらく。しかし、藤井が請け負ったバイトで嫌がらせを受けた時、助けてくれるあたり、上折は本気で嫌っているわけではなく、気になるヤツに意地悪する心境のようだ。生徒会の立場を利用して、下着泥棒事件では新聞部員をタダ働きさせたり、部費目当てに女装コンテストに出場する藤井を楽しんだり。できる生徒会長の役どころを活かしたいじめっ子が上折にはよく似合う。使われているエピソードはボーイズものではポピュラーなものであり、嫌味なく無難にまとめていると思う。

好きなエピソードは第4話。藤井に想いを打ち明けないままに死んでしまった森高紫が幽霊ヒロインで登場する。そこそこに霊感のあった藤井は、幽霊の森高が上折とデートしたいと言い出したのを受け、遊園地に上折と遊びに行く。結果、森高は成仏するどころか幽霊で何もできない自分に気が付き、藤井の周りに悪霊を呼び寄せてしまうのだ。屋上で飛び降り自殺危機一髪のところを上折に助けてもらい、更には上折の肉体を借りて森高も藤井に告白できてめでたしめでたし。幽霊の森高が見えていたのに、「めんどうくさい」のひとことで黙っていた上折がポイント。

登場人物が増えるごとに話しも面白くなってきたが、パターン化されてる設定だけに新鮮味に欠けたのが残念。上折の姉など、もう少しパワーアップしてもよかったと思う。ボーイズものは女性の脇役の出来で面白味に変化がでると強く感じた作品。


<作品データ>
【タイトル】カラフルお元気BOY
【作者】川原未夜
【出版】冬水社 いち好きコミックス全2巻
【物語】天下の卑怯者・藤井と腹黒生徒会長・上折。まさに宿命のライバル、のハズの二人なのに?元気いっぱいの学園コメディ!
【描下し】おまけのカラフルBOY(第1巻):カラフルボーイの裏話。藤井は最初女の子だった!

のぞみビジョン

この作品については何と申しましょうか…。ファンの方、すみません。

直視して読めませんでした

吉祥寺企画の頃の作品を読むには、「過激なボーイズものでも受け入れられる覚悟ができてからでないと読んではいけない」と肝に銘じた作品です。最近のGDしか知らなくて、エロ系苦手な人は手を出してはいけません。

絵柄はかわいい感じですが、これといったストーリーはないと思います。要するに、ひたすらエロ…。強引に貞操を奪われ、そのままずるずると関係を強制されているのぞみ君の青春物語。ただ、ラスト当たりでのぞみ君のお母さんが妊娠して、それをきっかけにのぞみ君が成長していくあたりは好きかも。流されてゆくだけのキャラより、自己を確立したキャラの方が好きなんです。

「勇将奇談」は「仁獣芳烈伝」の元ネタかな?被ってるキャラはないけど、中華っぽい舞台設定は、これを発展させたものではないかと思いました。


<作品データ>
【タイトル】のぞみビジョン
【作者】森本秀
【出版】冬水社 リバイバルコミックス
【物語】人とは正反対の美的感覚を持つのぞみ。みんなが「かっこいい」って言う人が、変な顔に見えてしまう。そんなのぞみが、校内でも恐れられている伸に無理やり身体を奪われてしまい…。
【同時収録】勇将奇談

常春BOYS

典型的な幼馴染みもの。面倒見ている側がいつの間に惹かれていって、両思いになり、めでたしめでたし。しかし、そのきっかけに「父の立場」が絡んで「頼まれたから嫌々ながら」と思っていたからややこしい。大人の立場と子供の約束の違いが、両者の行き違いを生んだり、理解を深めたり、雨降って地固まるハッピーエンド。

面白いエピソードは、高校で国語の宮川先生がやくざの跡取り娘で、義常を婿にと言い出すところ。あの手この手と絡んでくる宮川組への対応ぶりが、いつもの義常らしからず、えらく物分かりがいいのだ。実は彼もやくざは怖かったというのがオチなのだが、そこは怪我の功名ということで。

もうひとつ面白いのは、お約束の女装ネタ。結婚式のアルバイトでトラブルが発生し、義常の花嫁役を春樹が務めるというオチ。パターン化している話だけに、いかにスピーディに読ませるかが勝負。春樹としては義常に「一生付いていきます」宣言した感じですね。

さて守られているばかりの春樹だが、それは義常の高校に転校してきたからであり、元の学校では指折りの優等生でしかも弓道がうまかった。しかも、なかなか根性がある。人を好きになってその人とずっと一緒にいたいから努力することを忘れない。そのへんにいるぽやっとしたお坊ちゃまではないわけだ。恋は惚れた方が負けというが、春樹の場合はお坊ちゃま気質が幸して、義常を振り回している。


<作品データ>
【タイトル】常春BOYS
【作者】葉芝真己
【出版】冬水社 リバイバルコミックス
【物語】父の出世のため、自分を追って同じ高校に転校してきた社長令息・春樹の面倒を見ることになった義常。始めはしぶしぶ引き受けていた義常だけど、一途な春樹を次第に特別に想えてきて…。幼馴染みの友情が、愛情に変わる?常春コンビが贈る、恋の下克上。

君よ知るや南の国

なんていうか、当時の思い切りベタなボーイズラブ作品です。最初と最後にしか出番はありませんが、この作品の主導権を握っているのは、間違いなく彼らの母親でしょう。前衛的理解があるというか、肝っ玉がすわっているというか。彼女たちのシーンが一番インパクトありましたね。

主人公の貴幸と幸司の高校生活は母親の出した条件をクリアするために勉強三昧…なのは幸司だけ?攻めキャラのパターン、デキがよいは健在でした。でも、振り回されるのは貴幸。つまるところはお互いに近すぎて見えなかっただけですが、障害のない普通の恋愛でもよくあるパターンですから、こんなもんかな。好みから言うと外れている展開ですが、たまには主流の作品も悪くない。

貴幸と幸司より、幸重と桐の方が好きだ。ピュアという点ではこの二人の方が上でしょう。貴幸と幸司が卒業旅行先の北海道で見た二人の生活がいい感じに描かれてます。そのあとに待っていた貴幸のオチが実に対照的で現実に引き戻してくれました。大学卒業後は親元へ戻って同居にカモフラージュした新婚生活開始。幸せの青い鳥が近くにいるように、ふたりの楽園もそこにあったようです。


<作品データ>
【タイトル】君よ知るや南の国 [少女向け:コミックセット]
【作者】戸川視友
【出版】冬水社リバイバルコミックス全3巻
【物語】三浦貴幸と司城幸司は幼馴染み。子供の頃幸司と「18歳になったら結婚しよう」と約束した貴幸は、その言葉のまま18歳の誕生日に幸司の身体を強引に奪う。貴幸から結婚の報告をされた母親達は、最高学府・T大に現役合格することを条件に、結婚を承諾した。しかし、貴幸のことはあくまで友人として好きだと思っていた幸司は、貴幸に別れを告げる。ひとりでT大合格を目指す幸司。東京から来た転校生・夏川幸重は、自分の母親に面差しの似た幸司に惹かれ、その想いを告白。が、貴幸のまわりの人間に嫉妬している自分に気づいた幸司は、貴幸への本当の想いを自覚する。そんな中、幸重の策略にはまった幸司は、桐と貴幸が一夜を過ごしたと思いこみ、幸重と共に上京を決意する。幼馴染みの二人が目指した楽園の行方は?

田中君の場合

鈴木先生に手折られた田中君は鈴木先生の担当である化学が苦手。ベッドの中でテストの採点をする先生に文句を言うシーンがかわいかったりする。先生と生徒という禁断の関係をさらりと明るく描いているあたりがこの作品のいいところですね。エピソードも学校行事絡みなところが面白い。

例えば、田中君が旅行に行きたいと出した条件が、そっくり修学旅行に反映されている。また、夏休みの合宿では、ライバル視する子と競り合ったり。そこがコドモとオトナな二人の立場を反映していて退屈させません。

現実的でないけれど、なんとなくあって欲しいような設定。そこがこの作品のメルヘンです。田中君の父親の転勤→先生と同棲大作戦など、にんまり笑える展開で軽く読める1冊です。


<作品データ>
【タイトル】田中君の場合
【作者】戸川視友
【出版】冬水社リバイバルコミックス
【同時収録】いっしょにくらそう
【物語】田中君と鈴木先生は世を忍ぶ恋人同士。オトナな先生にたまに不安になっちゃう田中君と、コドモな田中君がすごく可愛いと思う鈴木先生の、デンジャラス&キュードなラブ・バトル。

ぐれーと・グレイス・トーク!

アマゾン帰りのアラシはどこから見ても立派な野生児です。しかし、日本語はしゃべれないけれど、ポルトガル語、英語、ドイツ語などなど複数の言葉で日記を付けていました。走れば世界新のタイムをたたき出すし、実はスポーツも万能な天才児かも?そんなアラシが懐いているのはイトコのタイラただ一人です。その理由というのが、タイラがアラシの運命の恋人と占ってもらっていたから。知らぬはタイラばかりなり、です。

アラシの破天荒さを示すエピソードが続き、2巻になるとアラシを「運命の王子様」と慕う(?)レディ・カメリアが登場します。けれども、アラシにはタイラ以外眼中にナシ。その後転校してきたレディ・カメリアを巡って事件が起こりますが、アラシの超人的な力の前に解決するのです。たおやかな美形男子タイラの女装も見れて一石二鳥?どこまでもドタバタコメディな作品です。
同時収録の「現の天使不実の恋人」は著しく老化を止める薬をめぐる逃亡コメディ。ラストは朱夏の身体に隠された薬の化学式を天才鳥海連(むらじ)が読み取ろうと苦心しているシーンで終わります。体温が上がることで浮き出る化学式ですが、果たしてどうやって体温を上げたのでしょう?深く追求せず、サラリと読み流したいお話でした。


<作品データ>
【タイトル】ぐれーと・グレイス・トーク!
【作者】戸川視友
【出版】冬水社 全2巻
【4コマ描きくだし】アラシの出国
【同時収録】現の天使不実の恋人
【物語】今井浜平穏(タイラ)は平凡な高校生。ところが、そんな平穏の元にイトコがやってきた。そのイトコとは、アマゾン帰りの超野生児・嵐風(アラシ)。素手で食事をし眠るときは素っ裸という嵐風は、何故だか平穏になついてしまい!?ハイテンション!カルチャーショックコメディ!!

海老原さん家は今日も大変!

一度出会うと生涯離れられない運命の相手を持つ星の下に生まれた海老原タイと有楽一生。二人の出会いは受験前に街中でのすれ違いから始まった。ふたりが意識しようがしまいが、離れそうになると局地的ながらも天変地異が勃発。こういうのを出会うべくして出会ったというのだろうか。常識では考えられない運命を受け入れてふたりは高校生活を送っていく。

普通、男のは占いなんか信じないと思うんだけど、そこは占い師ルイルイビーナス先生(実は一生の叔父有楽一刻)の登場であっさり解決。物語が進むぬ連れて一刻の存在は重要なものになっていく。たかが占いと馬鹿にできない重みがあるのだ。なにしろ、彼の助言がなければ、第二部で運命のもつれが修正できない。

第一部と第二部に分かれているので、物語の山場もそれぞれ別にある。第一部では、ロミオ・ラリーと誘拐事件。第二部ではフルマラソンと要の呪い解除。スポーツと事件とがほどよくミックスされていると思う。ドラマティックなのはロミオ・ラリーだが、展開上面白いのはフルマラソンかな。どちらも一生の魅力がたっぷり。ただ、秋田書店版は第一部しか収録されていないので、冬水社版で買うのがベター。

生まれつき心臓の弱いタイちゃんだけど、それゆえに彼の心は優しく強い。チープに言えば、他人を思いやる優しさだが、それを無条件に貫き通せる強さが加わることで、人としての強さが強調されていると思う。他人を助けるために彼が取った行動はあまりにも潔すぎるが、その時、タイちゃんにも迷いがあった。それでも「後悔とか、迷いとか、そんなことは後から考えればいい」と他人を助けることに集中している。一生とは違う男気のあり方がタイちゃんの優しさなのだろう。


<作品データ>
【タイトル】海老原さん家は今日も大変!
【作者】東宮千子
【出版】冬水社リバイバルコミックス 全7巻
【物語】男同士の夫婦に育てられたタイちゃんは、ちょっぴり体は弱いケド心優しい男の子。フツーの人生を望んでるタイちゃん。でも、一度出会うと二度と離れられない『運命の相手』一生と出会った以上、もう普通じゃいられない!? ハイセンス学園コメディー (第1巻より)
雨の中、自分を待ち続けてくれた一生を許そうと思ったタイちゃん。だけど翌朝、いつもの場所に一生はいなくて…? 一方、一生は叔父・一刻から極運星の相手が自分と同学年にはいないと告げられる。タイちゃんを運命の相手と信じていた一生は愕然とするが…!?運命の星の試練に二人は…。 (第2巻より)
数々の伝説を残し、ロミオラリー閉幕!血だらけになりながらも優勝を果たした一生がタイちゃんの腕の中で幸せ気分に浸れたのも束の間、今度は一生の実力を目の当たりにした運動部が一生獲得に乗り出した。交渉が決裂すれば自然科学部もタダでは済まない。さぁ一生、どうする…!? (第3巻より)
タイちゃんを「蝕の星」に預け二度と会わない決意を固めた一生。だが嵯峨沢を訪問中、タイちゃん拉致の知らせが入る。自分だけが聞いたタイちゃんの悲痛な叫び…。タイちゃんを守れるのは自分だけだと思い直した一生は…!?海老原さん家誕生秘話も見逃せない (第4巻より)
直人、守の突然の長期海外出張で、一緒に住むことが決まったタイちゃんと一生。タイちゃんを守る役目をおおせつかってごきげんな一生だけど、周囲の一生への本音の声はただ一つ、「タイちゃんには手を出すな」!?(第5巻より)
第25代、海老原「要」誕生!そしてリュウちゃん企画・運営による「夢の嘉月・一生マラソン対決」が実現する。ロミオラ リーの感動再び!? といきたいトコだけど、優勝しろと言ってくれないタイちゃんに、一生は不機嫌爆走中で!?(第6巻より)
遂に始まったマラソン大会。タイちゃんへの本気を賭けてひた走る一生と、力いっぱい一生を応援する元気タイちゃんの熱い闘いは、今まさに最高潮!! 一方、5Xジンクスがさらなる事件を呼び起こし…!?(第7巻より)

A to Z

  • Posted by: NARU
  • 2005年10月18日 15:23