- 2007年10月 6日 21:48
- 枕元に一冊
「由似へ…」を初めて読んだのは、別冊マーガレットに連載中の最終話でした。いきなり交通事故のシーンから始まっててすごい衝撃を受けた記憶があります。ヒロインの由似がどれほど自分を責めたか、身につまされます。その由似を救ったのが亡き母からの手紙でした。誕生日ごとに書かれた手紙は、その年の由似がこうだろうという状況にドンぴしゃで、幼子を残して逝ってしまった母親の愛情がひしひしと伝わってきました。それまでホームドラマ的な作品は陳腐な印象が強くて敬遠していたのですが、「由似へ…」で認識を改めさせられました。
ヒロインは由似ですが、手紙を通じて前作「星くず」のヒロイン由布子の存在感が恐ろしく強いです。由似の周りを埋めているキャラがみんな由布子と関わりがある人ということもあるでしょう。形は違えど、由布子の生き方に影響を受け、その心を受け継いだ人達が大勢います。中でも小野木卓也は、初心貫徹、心臓外科医で再登場。年の差カップル好きな私としては、幼馴染みの慎司くんより卓也お兄ちゃんを選んで欲しかったなあというのが本音です。
あとがきで作者も語っていますが、由布子と由似を超えるキャラはたぶんいないでしょう。長期連載が続いている翔子シリーズやペンションシリーズにしてもどこかに共通点があります。それが大谷作品の特徴であり、人への優しさを追求した形だと思うのです。其の手の作品は教訓めいていて好きになれない人もいると思いますが、悩みながらも他人に優しく生きていくヒロイン達が大好きです。
![]() | 由似へ… (上) (中) (下) 大谷 博子 集英社 1998-02 by G-Tools |




