- 2007年9月 5日 21:29
- 枕元に一冊
江戸時代で忠義ものとくれば、「忠臣蔵」が一番にあがるのでしょうけど、娯楽性でいえば、「南総里見八犬伝」に勝る作品はないでしょう。裏話として、作者の滝沢馬琴が視力を失った後は、嫁の代筆で仕上げたのも有名です。それまで学問らしきことにはほとんど縁のなかったお嫁さんが口述筆記で書き上げたというのが一番の驚きかな。
物語は、ひとくちに言えば、お家再興物語。その縁を結んだのが、里見家の伏姫が死の間際に散らせた8つの玉で、「犬」の字を持つ侍、八犬士がその中核を為します。一番ロマンティックなのは信乃と浜路かな。一番最後に登場する「仁」の文字を持つ犬飼親兵衛が一番優遇されている気がするのはなぜだろう。やはり当時の人にとっても「仁」は特別な意味を持つ文字だったということでしょうか。
漫画はほぼ原作どおりに描かれています。複雑に絡み合った人物関係をうまく噛み砕いて物語に織り込んだところが一番スゴイと思う。さらっと表面をなぞっただけでは二世代にわたっている親子関係と因果関係がわかりにくいのだけれど、丁寧に描いてあるので斜め読みしなければ初読で理解できると思います。
原作との違いは、ラスト。オリジナルに変えてあるのではなく、里見家復興後の八犬士のその後を省いてあることです。これは8巻のあとがきで作画者が説明してますので、理由はそこでご覧下さい。漫画としては、あのラストで十分いいたいことは伝わったと思います。八犬士としての宿命を離れ、自由なひとつの命として生きていくという、人としての前向きさがいいですね。私は原作の諸行無常な終わり方より、漫画の方が未来に希望が持てて好きです。
![]() | 八犬伝 (全8巻) (作画)碧也 ぴんく (原作)滝沢 馬琴 ホーム社 2004-11 by G-Tools |
- Newer: 三大テノール、パバロッティ氏、逝去
- Older: 嫌いな物はキライ




