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バケツを取りに行って墓穴を掘る(まりの場合)

我が家の玄関前にはハーブを中心とした鉢植えがいくつかあります。放任主義とはいえ、最低限の水やりくらいせねば、ということで、それなりの園芸道具もあります。その中でポピュラーなものといえば、バケツです。使わないときは家に収めているのですが、うっかり外の水場に置き忘れてしまうこともあります。何しろ、プラスチック製の軽いものですから、風が吹くと転がって水場の中でカラカラ音がします。それが好奇心旺盛な子猫の格好のおもちゃとなっても不思議はありません。えらく転がる音が響くなあと思っていると、案の定、どこからかやってきた子猫の遊び道具となっていました。たかが安物のバケツひとつですが、ハーブの水やりには欠かせない道具です。
「壊されないうちに取りに行った方がいいんじゃない?」
野良猫なら人が近づけば逃げていくのが基本ですから、玄関を出たのはいいけれど…。
近づいても逃げないどころか足下にすり寄ってくる始末。
「だめだめ。うちには入れられないからね」
バケツを取るどころか、慌てて家に引き返すこととなりました。
が、子猫はまとわりつきながら付いてくる。
心を鬼にして、取りあえずは玄関の戸を閉めました。
「バケツは?」
「…忘れた」
しかし、さすがに今出ていくのはまずかろうということで、少し時間をおくことにしました。
そのまま放置しておくこと半日。
夕方近くなって、バケツの転がる音もしなくなったので、もう大丈夫だろうと母が玄関を開けると、すかさず足下にすり寄ってくる子猫が一匹。無情に蹴飛ばそうと足をあげても全く動じる様子がなく、ふにゃふにゃと鳴きながらまとわりついて離れようとしないのでした。
「バケツ、あった?」
「バケツはあったけど、子猫もいるわよ」
苦り切った声に一同沈黙。
「どうするの、ソレ」
「どうするったって…」
ころんとひっくり返してみると、付いているべきものが見あたらない。
どうやら雌のようです。
「この辺、野良の雄が多いんだよね」
「雌だと子猫を生むだろうから、また野良の子が増えるよね」
当時我が家に7匹いる猫のうち、雌は2匹。残りの5匹は雄ですから、バランス的には圧倒的に雄が優勢です。もっとも、全てに置いて女の子が強いんですけどね。で、女の子ならいいか、ということで、めでたく母のお膝に抱っこ。

ところで、外見はころころとしているのに、なぜか目が真っ赤なのです。
正確には、赤い涙を流しているというべきでしょうか。
「はい、病院へ行ってこようね」
そのままバスケットに入れられ、子猫は病院へ行くこととなりました。
病院へ行くとなると、当然名前が必要です。
「女の子だからねえ」
少し考えた後、外見が丸いところから「まり」に決定。

診察を受けたところ軽い風邪を引いているということで、目薬と飲み薬をもらってきました。たろのガールフレンドに欲しいとの父の要望で、主な寝床は2階の父の部屋に決定。しかし、たろは人間でいえば中年のおじさん。対して、まりは小学生くらいのピチピチギャル(笑)風邪が治ると元気いっぱいで遊び相手を欲しがり、最初は相手をしてやるたろも途中から逃げ出す始末です。やっぱり、名前が悪かったのでしょうか?

今日も「まり」は、鞠が跳ねるがごとく元気いっぱいに部屋中を飛び回っています。

mari.jpg
まるまるとしている子猫のまり。

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