- 2005年12月20日
- 枕元に一冊
久しぶりにハマれる作品に出会いました。「彩雲国物語-はじまりの風は紅く」は、最初は逆ハーレムをアレンジした後宮ものかとあまり期待せずに読んだのですが、中身は全然ちがっていました。ファンタジーっぽく始まって、恋愛風味かと思えば陰謀が漂い、アクションで締めて、主人公・秀麗の成長物語へとつながっていきます。その意外性と構成力のうまさで最後まで一気に読ませられました。
秀麗は貧乏ながらも名家のお嬢様でしっかり者というところを見込まれて昏殿・劉輝の教育係を頼まれ紅貴妃として後宮に入ります。王は男色家なので夜の心配はナシ、という触れ込みでしたが、秀麗に心を開いた劉輝は夜ごと訪れる始末。もっとも肝心な進展はなかったわけですが、秀麗の乙女心は複雑です。なにもないけれど、とにかく微笑ましい。それが秀麗誘拐事件で一変します。これまでの伏線が一気に開放されて、出てくる出てくる新事実。だいたいは予想の範囲内でしたが、黒狼だけは全然予想できませんでした。でも、一番美味しい役どころかも。二面性を持ったキャラは大好きです。
事件が一段落して、これが恋愛小説ならめでたしめでたしで終わるところですが、秀麗には最初からその気が全くありません。劉輝に全然心惹かれていないわけではなさそうですが、彼女が目指しているのは官吏。劉輝との出会いは、その後、彼女の夢を実現させるための分岐点になります。陳腐な言い方を借りれば、「はじまりの風は紅く」は、ロマンスから始まる成長物語の、文字どおり出発点なのです。
![]() | 彩雲国物語―はじまりの風は紅く 雪乃紗衣、由羅カイリ(挿絵) 角川書店 |
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